Que tout l'enfer fuie au son de notre voix...
日本での初演はミュージカルではありませんが、慶応義塾ワグネル・ソサイアテイが 1960 年に男声合唱で歌っています。北村協一編曲、畑中良輔指揮という名コンビによる演奏でした。取り上げられた曲は「Golden Days」「Drinking Song」「Deep in my Heart, Dear」「Student Life」「Serenade」「Student March Song」の 6 曲でした。その後もワグネルは畑中良輔の指揮により演奏会で何度も歌っています。北村協一は出身校である関西学院グリークラブの演奏会でも「学生王子」を指揮しています。
1975 年には二期会が東京の郵便貯金ホールでミュージカルとしての初演を行いました。指揮は北村協一でした。岩谷時子訳詩による日本語での上演を行っています。
北村協一はワグネルの演奏会への寄稿で、
“畑中先生は「学生王子」が余程お気に入りとみえ、以前にも氏の指揮による演奏を知っている。ひょっとするとこの曲は、氏の青春の一頁に忘れられぬ想い出を秘めているのではないかと思っている。”
と述べています。その北村先生も男声合唱とミュージカルで「学生王子」を何度も指揮していますが、北村先生にも青春時代の忘れえぬ甘くて切ない想い出があったのでしょう。
舞台となっていますハデルベルグはどのような街なのでしょうか。ドイツ南西部にあるライン川の支流であるネッカー川沿いの古都です。ドイツ最古の大学であるハイデルベルグ大学があり、人口 14 万人の小都市です。
このアルトハイデルベルグの街でのこと・・
ケティは、下宿に着いた王子を歓迎するため、花束をささげ、次のような詩を暗唱しました。
「遠き国よりはるばると ネッカーの河の懐かしき 岸に来ませし我が君に 今ぞ
捧げんゆく春の いと麗しき花飾り
いざや入りませ我が家に されど去ります日もあらば 忘れたもうな若き日の
ハイデルベルグの学び舎の幸多き日の思い出を」
私たちの演奏会では、音楽監督である富岡健の脚色により滋賀男声版「学生王子」をお届けすることになるでしょう。そして、メンバーの多くが青春時代の甘くも切ない、時には苦い想い出を・・涙しながら歌っていることでしょう。
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